傷病鳥の救護について

■野生動物について、正しい理解を

野鳥も野生動物の一つです。野生動物の暮らす世界では、食べるものと、食べられるものが、常に共に暮らしています。ケガや衰弱などで動けなくなった野生動物は、他の野生動物に食べられることで、他の多くの野生動物の命を支えています。

ケガをしたり衰弱した野生動物を「かわいそう」と思われるかもしれませんが、野生の世界で起こるできごとは、そのままそっと見守ることが大切です。野生動物には彼らが暮らす世界と、彼らの生き方があることを、どうかご理解ください。

■傷病鳥の救護について

人間活動の影響によって傷ついたり衰弱した野鳥を、もともと暮らしていた野生の世界に戻すこと(野生復帰)を目的に、初期救護、リハビリ、回復後の野外放鳥を行っています。受け入れの基準は、以下のとおりです。


【救護の対象となる野鳥】

  • 人間活動の影響でケガをしたり衰弱した野鳥や、その疑いのある野鳥

建物への衝突、交通事故、油汚染、釣り針・釣り糸の被害、農薬による中毒など、人間活動の影響でケガをしたり衰弱した野鳥が救護の対象です。


油汚染(エトロフウミスズメ)

釣り糸が絡まったヒメウの足

自動車との接触(エゾフクロウ)
 

※野生動物は警戒心が強く、人を恐れます。ケガや衰弱で身動きができない場合でも、人が近くにいることで緊張し、ストレスがかかります。そのため、救護することで、かえって症状を悪化させたり、野生復帰できなくなる恐れがある場合は、救護できないことがあります。

  • 絶滅の恐れのある希少種
    (鳥獣保護法の希少鳥獣、種の保存法の国内希少野生動植物種)

ウミガラス、ケイマフリ、オジロワシ、ハヤブサなどの希少種は、個体数の減少を防ぐため、傷病の要因に関わらず救護します。


希少種:ハヤブサ

※希少種の種名については、環境省のウェブサイトでご確認ください。希少種であるか判断できない場合は、お問い合わせください。

 


【救護の対象とならない野鳥・野生動物】

  • 野生動物の暮らす世界のできごとでケガをしたり衰弱した野鳥

カラスやタカに襲われる、渡りで体力を消耗して衰弱する、老衰などは、救護の対象としていません。野生の世界で日々起こるできごとは、そっと、そのまま見守ってください。その命が、他の多くの野生動物の命を支えていることをご理解ください。

  • 野鳥のヒナ

野鳥のヒナは救護しません。ヒナは巣立った後、エサの捕り方や外敵から身を守る方法などを、親鳥から教わりながら成長します。人が親鳥に代わりそれらを教えることはできません。また、人が親鳥に代わるべきではないと考えています。


親鳥からエサをもらうスズメの幼鳥

※巣立ち直後のヒナは、うまく飛べません。地面でじっとしていても、決して拾わず、その場から離れてください。近くに必ず親鳥がいて、ヒナを見守っています。人がいると、親鳥はヒナに近づくことができず、ヒナを守ることができません。

※猫や車などが心配な場合は、可能であれば木の枝など少し高い場所や茂みに移動させて、速やかにその場を離れてください。親鳥は鳴き声で、ヒナを見つけることができます。

※くわしくは「 ヒナを拾わないでキャンペーン」のページ (外部サイト:(公財)日本野鳥の会)を参照してください。

  • 野鳥以外の野生動物

哺乳類や爬虫類などの救護は行っていません。各市町村役場か北海道の各振興局に連絡してください。

  • 飼育している鳥

インコ、ニワトリなど、ペットや家畜として飼育されている鳥は救護の対象としていません。最寄りの動物病院にご相談ください。

  • 外来種
    (人間活動の影響によって入り込んだ、その地域にいなかった生物)

ガビチョウ、ソウシチョウなどの外来種は救護の対象としていません。外来種が増えると、もともとその地域にいた野生動物が生息地を奪われるなどの影響を受けます。外来種を発見した場合は、各市町村役場か北海道の各振興局に連絡してください。


■ケガや衰弱した野鳥を見つけたら→受け入れの流れ