ウミガラス巣内カメラ2020年の映像

ウミガラス(オロロン鳥)は、日本では唯一天売島でのみ繁殖しています。それも現在、繁殖しているのは赤岩の対岸の崖にある窪み1か所のみです。環境省羽幌自然保護官事務所では、ウミガラスの巣内にカメラを設置し、飛来数や繁殖状況などを撮影し保護活動に役立てています。

今シーズンもカメラを設置し、ウミガラスのヒナが巣立つ7月下旬~8月上旬まで撮影を行っています。

今年は諸事情により、ウミガラスの繁殖巣棚から5mほど手前に1台カメラを設置することとなりました。そのため例年通りの情報を得ることは難しいですが、繁殖巣棚の手前に設置することでウミガラスの飛来数、巣立ち雛数、捕食者の侵入頻度などの情報を得ることができるのではないかと期待しています。

繁殖の様子を随時紹介していきますので、ぜひご覧ください。巣内カメラの映像を通じて、羽幌のシンボルであるウミガラスをもっと身近に感じていただければと思います。


今年のウミガラスの繁殖結果

今シーズンの天売島でのウミガラスの繁殖結果がまとまりましたので報告いたします(暫定値)。

今年は、最大飛来数65羽を確認し、24羽のヒナの巣立ちが確認され、10年連続の繁殖成功となりました。

今年は赤岩対崖繁殖巣棚内に小型カメラを設置することができなかったため、繁殖巣棚入り口から5mほど手前に広角で撮影できるカメラを設置して飛来数・巣立ち雛数をカウントしました。そのため、繁殖巣棚内の全てのふ化したヒナの数を把握することはできませんでしたが、巣立っていったヒナの数から考えると順調に繁殖できたと思われます。

来シーズン以降も誘引の効果的な方法や捕食者対策を検討し継続的に保護事業に取り組んでいきたいと思います!

巣立ちが始まりました(7月中旬)

7月中旬、ウミガラスの巣立ちが始まりました。

ウミガラスのヒナは例年6月下旬にふ化し、3週間ほど親鳥がせっせとヒナのために餌を巣棚まで運んで世話をします。3週間ほどたつとすくすくと育ったヒナは巣立ちの時期を迎えます。

今年は7月15日に最初のヒナが巣立っていき、その後次々と巣立ち始め、7月19日には1晩で4羽のヒナが巣立っていきました。

まだ解析中ですが、7月中旬から8月上旬にかけて巣立ちを確認でき、今年も20羽以上のヒナが無事に巣立っていったことを確認することができました。

巣立ったウミガラスのヒナは、海上でオス親に餌をもらい2か月ほど一緒に暮らし、その後独り立ちすると言われています。完全に巣立ったヒナは3~4年後に産まれた場所に戻り、子育てに参加し始めます。

今年巣立ったヒナがまた無事に戻って来てくれるといいですね。

 

ヒナにエサを運んでいます(6月から7月中旬)

6月に入ると、ケイマフリやウトウなどいろんな海鳥がヒナのために餌を運ぶ様子を見ることができ、ウミガラスがせっせとヒナのために魚を咥えて巣棚に戻ってくる様子も頻繁に確認することができるようになりました。

繁殖シーズン中はウミガラスのカメラによるモニタリングとケイマフリの繁殖状況調査を実施しますが、ケイマフリは海の沖合の方から魚を咥えて戻ってくると、そのまま岩の割れ目などの巣穴に入らずに、巣穴の近くの浅瀬でプカプカと魚を咥えたまま浮いていることがあります。そして、ある時思い立ったように水面から飛び立ち沖合の方に飛んでいき巣の方に戻って来て空を旋回し始めます。すると他の個体も一緒になって飛び始め、2~3羽が一緒にぐるぐると旋回している時にスポッと巣穴に戻る様子などを見ることがあります。

ウミガラスも巣棚に戻る前に巣棚周辺を数羽で旋回し、巣棚に戻ってくることがあります。

はっきりとした理由はわかりませんが、巣穴や巣棚の高さまで高度を上げるため旋回するということや、巣の周辺にはオオセグロカモメやハシブトガラスなどの捕食者がいるため、なるべく数羽で同時に巣の周辺を旋回して飛び、襲われるリスクを減らすためではないかと思っています。


ウミガラス抱卵中です(6/2)


5月上旬、ウミガラス達は昼頃になると皆海へ飛んでいき繁殖巣棚内は閑散としています。

その後、機材の不具合により2週間ほどカメラで録画することができませんでしたが、5月24日には昼頃、ウミガラスが繁殖巣棚の中にいることを確認することができました。

昨年は5月21日に最初の個体が産卵したことを確認できたので、5月24日にはもしかしたら抱卵個体もいたかもしれません。

6月2日にはウミガラスが頻繁に巣棚を出入りする様子を確認することができました。もし例年通り産卵していたら約35日間抱卵するため、6月24日頃にヒナはふ化すると思われます。

無事にふ化してくれるといいですね。

 

今年もウミガラスが戻って来ました(5/4)


今年は4月18日から20日の期間にカメラを設置しモニタリングを開始しました。

今のところ、例年通りウミガラスが飛来してきています。現在はまだ産卵期前で、ウミガラスたちは1日の大半を海上で過ごし、早朝に巣棚に飛来してきます。そして、1~2時間巣棚の中で滞在した後、皆でウーウーと鳴きながらうなずき合って再び海へ飛んでいきます。