海鳥の翼の形

 空を飛ぶ鳥類の翼の形は基本的に4つに分けられます。森林にすむ鳥類に多く見られるのは楕円翼。ウミスズメ科の海鳥の翼は幅が狭く、短く、先がとがった高速度翼です。アホウドリ類やミズナギドリ類では幅よりも長さが非常に長く、高アスペクト比翼と呼ばれます。ワシ類やペリカン類は大きな四角形で、滑空翼です。また、空を飛べなくなったペンギン類の翼は羽毛が退化し一部が角質化して、潜水に便利な「かい型」の推進翼になっています。


飛ぶことにすぐれた海鳥の翼

 空中を飛ぶ能力にすぐれたミズナギドリは、自分の体重に対して長くて面積の大きな翼を持っています。翼開長の大きい翼は滑空に適しています。また、長時間飛ぶことができ、エネルギーも節約することができます。しかし強度は減少し、空気抵抗が増加する欠点ももっています。

潜ることも飛ぶこともできる海鳥の翼

 潜水にもすぐれた能力を持つウトウは、海中で翼を羽ばたかせて飛ぶように潜るので、自分の体重に対して翼の面積は小さくできています。また、滑空(羽ばたかないで前進する)しながら飛ぶことはしないので、大胸筋の一部の筋肉が退化しています。

潜ることにすぐれた海鳥の胸筋

 水中は、空気の800倍もの密度があります。この中を自由に潜り、すばやく泳ぐためには、なるべく抵抗を少なくする必要があります。エンペラーペンギンの翼は、体重に比べて小さな翼面積で水中での推進力が得られる形をしています。