海鳥の胸筋

 海鳥が翼をはばたかせる原動力は、胸についた強力な筋肉です。張り出した胸には、翼を打ち下ろす筋肉(大胸筋)と打ち上げる筋肉(小胸筋)が重なるようについています。この胸筋の形や厚みには、それぞれの海鳥の生活環境や翼の形、飛び方によって違いが見られます。


飛ぶことにすぐれた海鳥の胸筋

 クロアシアホウドリのように空中を飛ぶことを得意とする海鳥は、大きな翼を広げたまま風を利用してゆったり飛行するため、海に潜るペンギン類のように発達した胸筋はもっていません。胸筋は短く小さくなっています。

潜ることも飛ぶこともできる海鳥の胸筋

 ウミガラスは空中を飛んだり水中を潜る時に、小さな翼を激しく羽ばたかせるために必要な胸の筋肉をもっています。この胸筋は最大で水深180mまで潜水する際に、水圧から内臓を保護する役目も果たしています。

潜ることにすぐれた海鳥の胸筋

 繁殖期以外はほとんど海洋で過ごすエンペラーペンギンは、胸の筋肉が非常に発達しています。この強い胸筋によって水深200〜300m位でも一気に潜水することができ、また水中での寒さや水圧にも耐えることができるのです。